【監修】
佐藤 さくら 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
病態総合研究部
小児科医、アレルギー専門医

小麦アレルギーとは

小麦アレルギーとは、小麦に含まれるタンパク質によって引き起こされるアレルギーのことです。小麦は食物アレルギーの主要な原因食物のひとつです。日本では鶏卵、牛乳についで3番目に発症数が多く、食物アレルギー全体の約1割を占めています。

主な症状としては、じんましん、皮膚の赤み、せき、ぜーぜーする、腹痛、嘔吐、下痢、唇の腫れ、目の充血などがあります。特定の食物を食べただけでは症状がないものの、食後に運動をすると症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の原因食物としても、多く報告されています。乳幼児期に発症した小麦アレルギーは、小学校に入学するまでに約70%は自然に食べられるようになると報告されていますが、重症な方では成人まで持ち越すケースもあります。

原因となる食品の特徴

小麦アレルギーの原因となるタンパク質

小麦の主要なアレルギー物質(アレルゲン)は、グルテンというタンパク質で、中でもグリアジンというタンパク質が原因となることが多いです。

加熱によるアレルゲンの変化

グリアジンの一種であるω-5グリアジンは小麦アレルギーの主要なアレルゲンですが、加熱や消化に安定なため、加熱してもアレルギーを起こす力は弱まりにくいことがわかっています。

除去すべき食品

小麦と小麦を含む加工食品は除去が必要です。

小麦粉:薄力粉、中力粉、強力粉など
加工食品:パンや麺類、うどん、お好み焼きなどの粉物、揚げ物、カレーなどのルウ、和菓子(饅頭など)、洋菓子(ケーキなど)など

小麦アレルギーでもしょうゆを除去する必要は基本的になく、一部の食品なら症状なく食べられる場合もあります。「食べられる量」は食物経口負荷試験などを元に医師が判断します。
また、小麦以外の麦類については、一部の方では大麦(麦ごはんなど)を食べるとアレルギー症状が出る方がいますが、小麦アレルギーを理由にひとくくりに除去する必要はありません。

小麦アレルギーの場合の食事

まずは、小麦アレルギーの際に食べてはいけない食品や、食品表示の見方を理解することが大切です。最近では、小麦アレルギーでも利用できる市販の食品も増えてきましたので、上手に活用しながら過ごしましょう。

まとめ

食物アレルギーの中で、卵、牛乳に次いで発症数が多い小麦アレルギーでは、即時型だけでなく、食物依存性運動誘発アナフィラキシーが多いことも知られています。小麦アレルギーの主要なアレルゲンであるω-5グリアジンというタンパク質は、加熱をしてもアレルギーを起こす力はあまり低下しません。
小麦アレルギーに対する理解を深め、正しく原因食物を除去し、安心して生活できるようにしましょう。

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