インタビュー:2020年3月
アレルギー品目:乳製品・カカオ(チョコレート・コーヒー)・ナッツ・黒糖
年齢:30歳

マルチアレルギーをお持ちの方は、どうしても学生生活で大変な思いをすることが多いと思います。乳製品・カカオ(チョコレート・コーヒー)・ナッツ・黒糖など多くのアレルギーをお持ちの場合、どのようにして学生生活や日常生活を乗り越えてきたのでしょうか。

※本記事は、あくまで一個人の体験談を参考情報として共有しており、個々に異なる症状への適切な対処法の提案ではありません。対処法などは、医師の診断に基づきご自身で適切に判断をしてください。

アレルギー仲間とともに乗り切ったけれど、ノリで食べてしまうことも

小学生から中学生の頃は、私よりも重度のアレルギーがある友達がいたので、一緒に乗り切ることができていたのだと思います。例えば、給食であれば牛乳は最初から注文しないようにしてもらい、日々の給食のメニューは自分がダメなものは食べないように判断していましたが、そうしたことを共感できるため、とても心強い存在でした。

家庭科の調理実習でミックスベジタブルを使ったメニューを作った際、私とアレルギーがある友達のいた班はアレルギー食品を除去した材料だけで対応していました。しかし、隣の班が多く作りすぎて「みんなで分けて食べよう」という流れになり、友だちがついアレルギー物質が入ったものを口にし、アナフィラキシーショックを発症してしまったこともあったので、ノリで食べてしまうことは気をつけなければいけないと実感しました。

子どもの頃はおやつを持参、両親が工夫してくれた「食べちゃダメシール」

母はスイーツが大好きだったこともあり、アレルギー食材を使用したスイーツも普段から家に置いてありました。今でも都内で人気のスイーツなどは「会社帰りに買ってきて」と頼まれます。子どもの頃は、見た目でアレルギー食材が入っているかどうか紛らわしいものには、「これは牛乳が入っているよ」などと書かれた「食べちゃダメシール」を両親が貼ってくれていました。

小学生の頃、友だちの家に遊びに行く際に自分のおやつは持参していました。今でもお菓子やお弁当など、自分が食べるものは家から持参するようにしています。アレルギー症状が出なかったとわかっているお惣菜などは市販のものを買うこともありますが、基本的には自炊するようにしています。

お昼ご飯も、コンビニや社食に自分が食べられるメニューがある保証はないので、基本的にはお弁当を持参します。なので、出かけるときは鞄の中が食料でいっぱいになりますね。毎日お弁当を作らないといけないのは時間的にも大変ですが、アレルギーに関係なく自炊することは健康にいいことなので、割り切って、週末にたくさんおかずを作って冷凍するなど工夫をしています。

外食は同じお店を利用することで安心できる

自炊が中心ではありますが、時には外食をすることもあります。しかし、自分が食べられるメニューがあって、おいしくて、ゆっくりできるお店となると、2~3店舗ぐらいしかないのが現状です。家族や友人には申し訳ないですが、毎回同じお店を選ばせてもらっています。

海外旅行や出張など、飛行機に乗るときには事前に航空会社に伝えるようにしています。
私はアレルギーのために食べられないものがありますが、ほかにも宗教上の理由で食べられないものがある方もいらっしゃいますよね。さらに、ベジタリアンなどさまざまな事情をお持ちの方がいるので、特に問題なく対応してもらえます。私はアレルギー食品の傾向から、ベジタリアンの方と同じ食事を出してもらうことが多いです。
飛行機に搭乗すると座席には特別食のシールが貼られ、CAさんも時折体調に問題がないか確認に来てくれますよ。

さらに、海外に行くときは、英語でアレルギーであることを書いたメモと、アレルギー食品の一覧を書いたリストを用意しておくようにしています。呼吸が苦しくなって話せなくなったときにも役立ちます。

海外旅行時に持参するメモ

画像: 外食は同じお店を利用することで安心できる

海外で食べるものに困ったら、私の場合は中華かインド料理を選ぶことが多いです。特にインドは宗教上、牛乳を飲まない方もいるので、牛乳を使っているかどうかメニューに表記されているところも多く、とても助かっています。

和食と中華料理と韓国料理は、基本的にはそこまで注意せずに食べても大丈夫なものが多い印象ですが、スイーツはどのジャンルでも要注意ですね。

アレルギーは個性のひとつだと考え、悲観しすぎないで

アレルギーに対しては、私自身はあまり悲観しないで個性のひとつだと捉えるようにしています。食物アレルギーに限らず、人にはパーソナリティがあります。「脚がもう少し長ければいいのに」とか、「顔がもう少し小さければいいのに」といった感じで、人と違うことに悩むことが誰しもあると思いますが、悲観的になりすぎず、まずは、自分自身を認めてあげることが大切ですよね。

それと同じで、私の場合は、食物アレルギーに悩んだこともありましたが、だからこそ同じ境遇の友達の気持ちを知ることができたし、食生活をよく考えるきっかけにもなったと考えています。アレルギーの原因や症状は人によってさまざまだと思うので、自分が一番過ごしやすく安全に楽しく生きていけることを大切にするのが重要だと思います。

◆「君とごはん」編集長のコメント

たくさんの経験から、自己理解を深め、現状をポジティブに捉えている姿は、とてもたくましいですね。インタビュー内容を読み、考え方で、人生の見え方は、変わるのかもしれないと、励まされた方も多いのではないでしょうか?悩んだり、孤独を感じたりした経験も、無駄ではなく、乗り越えた先には、優しさや、強さを持てる自分がいるかもしれません。食物アレルギーとともに生きる先輩は、料理上手で、人の気持ちになって考えることができるすてきな方でした。

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