食物アレルギーの除去食は、血液検査の結果だけに惑わされず、専門医の診断に基づいて行うことが大切です。
その上で、摂取可能な種類の魚を普段の食生活に取り入れ、「最小限の除去」が望ましいとされています。

魚類アレルギー

画像: 魚類アレルギー

主要アレルゲン

魚類アレルギーの主要アレルゲンは「パルブアルブミン」「コラーゲン」です。
昔は、赤身、白身、 青魚のように魚の身や表面の色で区別していましたが、身の色は「ミオグロビン」の量によって決まるので、アレルギーとの関連性は無いと考えられています。

【パルブアルブミン】
加熱してもアレルゲンとしての性質を失いにくいが、水に溶けやすいという性質があります
かまぼこや竹輪などの練り物には、水晒し(みずさらし)という工程があります。
潰した魚の身を水に晒し、余分なものを落とし、歯ごたえをよくするなどの効果があります。
パルブアルブミンは水に溶けやすい為、水晒しの際、抗原物質が流され、低アレルゲン化されます。
この場合、重症な場合でない限り食べることができる可能性があります。

【コラーゲン】
一方、コラーゲンは水に溶けないこと、加熱によっても性質が変わりにくいという特徴があります。
コラーゲンは、魚の種類を問わず含まれているので、魚の間で交差反応があり、加工後も残存するので練り製品でも摂取できない場合があります。
コラーゲンは粉末や液体で食品やドリンクだけではなく、化粧品にも多く使用されているため
魚由来のコラーゲンを使用した美容ドリンク剤で、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを起こした事例があります。
コラーゲンが原因の魚類アレルギーの場合は、注意が必要です。

【除去で不足しがちな栄養素】
魚類の除去を行うと、不足しがちな栄養素はタンパク質とビタミンDです。
ビタミンDは、魚類以外だとキノコ類や種実類(ナッツなど)に多く含まれています。
油に溶けやすい性質があるので、油で炒める調理方法や種実類を取り入れたメニューなど積極的に使っていくことで吸収の効率がアップします。
また ビタミンDは食べ物以外で生成できるビタミンです。
紫外線を浴びることで、合成することができます。屋外での適度な運動で取り入れることで不足しがちなビタミンDを補うことができます。

【最小限の除去で】
魚は種類が多いため、負荷試験を行い、全ての種類を確認するのは難しいですし、あまり現実的ではありません。
鮭や鱈などの一般的によく出回っている魚、給食で使用する頻度の高いもの、地域でよく食べられている魚を優先的に調べるのが良いでしょう。
食物アレルギーの除去食は、血液検査の結果だけに惑わされず、専門医の診断に基づいて行うことが大切です。
その上で、摂取可能な種類の魚を普段の食生活に取り入れ、「最小限の除去」が望ましいとされています。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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