小さな保育園では給食室もコンパクトなので、複数の食物アレルギーを持っているか、重度の場合は給食を提供せずお弁当をお願いしていることがあります。

毎日お弁当

画像: 毎日お弁当

みんなで同じお弁当を食べた日

 小さな保育園では給食室もコンパクトなので、複数の食物アレルギーを持っているか、重度の場合は給食を提供せずお弁当をお願いしていることがあります。
毎朝早起きして準備してくださっていると思うとあともう少し広い給食室なら、とか、コンロがもう1つあれば…と考えてしまいます。
今時食物アレルギーはあって当たり前くらいのつもりで建ててもらいたい…

 1歳児クラスから入園した、乳・小麦・大豆・鶏卵・サバ・バナナアレルギーのお子さんは、エピペンをお預かりしている重度の乳アレルギーのため、お弁当をお願いしていました。
2歳児クラスに進級する頃には大豆アレルギーの除去解除になり、それから少しずつ他のアレルギーも改善してきており、お家では食べている食品が増えていきました。
エピペンもだんだんお守りのような感覚に近くなってきて、いつか給食を食べる日がくると希望が見えてきたのでしょう。
2歳児クラスの壁に貼られた通常メニューや展示サンプルを見て、お弁当を給食に似せて作ってきてくれるようになりました。
あまりにも美味しそうなので、味見させてもらいたいくらいです。

 でも、気合いを入れすぎてしまったのでしょう、“世界の料理を食べる日”や“全国の郷土料理を食べる日”に登場する耳慣れない料理の再現にひっそりと悩んでいたようです。
特に外国料理はメジャーな国が一通り終わってしまったあとはどの国にするか必死で調べてメニューを作っていたので、ウガンダとかイメージが難しい国が登場していました。
担任の先生はお母さんの様子もしっかりバッチリ見ています。
1回くらいはお弁当のない日を作れないかと提案がありました。
入園当初とは状況が変わりアレルゲンを使用している給食室NGの厳しい除去が必要ではなくなってきているのなら、頑張ればできそうです。
全スタッフでシミュレーションをし、念入りに念入りに掃除して、無事に実施することができました。

 この保育園はマンションを改装して1フロアをパーテーションで区切って各クラスを作っており、この1日は全パーテーションを取り払って活動しました。
まる1日アレルギーを気にせず全年齢合同で活動できる機会は滅多にありません。
幼児クラスさんは率先して乳児さんのお世話に参加します。
2歳児クラスさんは幼児クラスに進級した後のロッカーの使い方など、自然な形で学べたと思います。
アレルギー児専用の小さなテーブルを使わない全年齢での共食は新鮮だったようでいつも以上に会話が弾みました。
全アレルゲン無し・お弁当無しの日を実施して、一番楽しかったのは…私たちだったかもしれません。

認定食物アレルギー管理栄養士「根路銘寿々(ネロメスズ)」

老人ホーム、療養型病院、保育園などの施設に15年以上勤務した経験をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
質問などありましたら「お問い合せ」にお気軽にメールをお願いいたします。

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