小麦粉のような粉もの、蕎麦を茹でている時の蒸気を吸い込んでアレルギー症状が出現すること、ゆでた後のお湯を使ってしまう、混入してしまい誤食することの認知は少しずつではあるものの、進んできたように思います。
これらの他にもう一つ、よく似た状況でアレルゲンの混入の可能性が心配されるのが、乾物の戻し汁です。

戻し汁

画像: 戻し汁

アレルゲンの混入の可能性

 小麦粉のような粉もの、蕎麦を茹でている時の蒸気を吸い込んでアレルギー症状が出現すること、ゆでた後のお湯を使ってしまう、混入してしまい誤食することの認知は少しずつではあるものの、進んできたように思います。
これらの他にもう一つ、よく似た状況でアレルゲンの混入の可能性が心配されるのが、乾物の戻し汁です。

 加工技術と流通の発達のおかげで、以前は乾物でしか手に入らなかった食材がレトルトパックや冷凍でも購入できるものが増え、取り扱いが簡単になったうえに細菌の繫殖を心配しながら前日から水戻しするリスクまで避けることができてとても助かっています。
便利になった反面、乾物を使う機会が随分減った気がします。
20年くらい前は干しエビ、ずいき、大豆など豆類…わりと献立に多く入れていましたが、今は水煮か冷凍ですね。

 それでも、乾物を使う機会がゼロになったわけではないので、このお話の時は乾燥大豆を水戻しして使うことになりました。
たっぷり水を入れておかなくちゃ!と思って水を入れておいたら、鍋に移す時に多すぎたようで、戻し汁を少し捨てました。
小さな施設のため代替食専用作業スペースが無く、シンクは限られています。
代替食を作っているすぐ横で、戻し汁を捨ててしまいました。
この時は運よく水跳ねがもとでアレルギー症状が出ることはなかったけれど、可能性がないとも言えません。

 乾燥した状態の豆の薄皮が殻のようにしっかり豆をくるんでいて、他のものに混入することはないと思ったようですが、水戻しする過程で水分を含んで膨張し、薄皮は裂けてしまいますし、真空パックではないのだから豆が触れても安全なのかは明確ではありません。
豆に水が入り込んだ分、豆の成分も水に流れ出ているため、戻し汁がうっかり代替食に入ってしまったら意味がありません。

 狭いスペースでは邪魔だな~と感じるでしょうが、代替食の作業が落ち着いたタイミングで多すぎた戻し汁をシンクに流すように改善しました。

認定食物アレルギー管理栄養士「根路銘寿々(ネロメスズ)」

老人ホーム、療養型病院、保育園などの施設に15年以上勤務した経験をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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