必要最低限の除去をするべきなのか、強く感じた時のお話し

アトピー治療のために食事制限!?

保育園にアトピーっ子が入園した時のお話です。

 生活管理指導表には、食物アレルギー用のものの他に、アトピー用のものがあります。
食物アレルギーの発症にも関わりがあるので、提出したことがある方もいるかと思います。
このお話自体には食物アレルギーは関係ありません。しかし、どうして必要最低限の除去をするべきなのか、強く感じたので紹介しようと思います。

 保育園にアトピーっ子が入園し、アトピー用の生活管理指導表の提出がありました。
治療の方針が独特な病院に通っているようで、治療についてたっぷり教えてくださいました。
専用の保湿剤の塗り方や時間、着替えのこと、などなどなど…。

 ただ、どうしてもよくわからなかったのが、食物の欄に記入してある“砂糖っぽいもの”?
保育園で提供される食事は、砂糖が多くてアトピー治療の妨げになるそうで…?
保護者の方から、砂糖がいかに体に悪いかを教えて頂きました。
私が知っている砂糖が原因の肌荒れは、夜食とか女子会で暴飲暴食とか、そんなものでしたが。

 正式な書類が提出されている以上、おやつの砂糖から抜いていきました。
アトピーがひどくなるたび、減らすものが増え、油まで抜くようになっていきました。

 保育園に限らず、施設で提供される給食は「日本人の食事摂取基準」をもとに計算されています。「日本人の食事摂取基準」は、ほとんどの日本に住む人がベストな状態で生きていける栄養のバランスを示した、厚生労働省のホームページから誰でも閲覧できる栄養士の便利ツールです。
保育園の給食は「日本人の食事摂取基準」の50%を目安に献立を作っているので、砂糖・油を極端に摂りすぎる可能性は低いです。(実際には細かいルールが他にもいっぱいあるんですよ!)
むしろ、減らしていくたびに肌が乾燥し、色もくすんでいっているように見えました。
もしかしてこれは、砂糖と油が不足しているのでは?と感じました。

 新しい治療法によって、今まで治らないと言われてきた病気が治ることがあれば、昔ながらの治療で嘘みたいに治ることもあり、人によって正解が違うのが人間ですから、砂糖や油を減らしてアトピーが治る人もいるでしょう。
ただ、保護者の方がその治療法を好ましく思っていても、当の患者にとって合っていなければ、それは、不必要な除去でしかありません。
念のため、不安だからと離乳食を遅らせたり、専門の病院・クリニックでの指示を受けた食品以外を除去することも、同じことがいえるのではないでしょうか。

認定食物アレルギー管理栄養士「根路銘寿々(ネロメスズ)」

老人ホーム、療養型病院、保育園などの施設に15年以上勤務した経験をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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