子供は何も悪くない

「気を使うから誘いづらい」と言われこともありました。

食物アレルギーをきっかけに繋がった、知人のお話です。

 彼女は、勉強会や色々なコミュニティに参加して、積極的にアレルギーのことを学んでいました。
同じ境遇の人に会い、悩みを相談したり、情報交換をしたりとても前向きなお母さんでした。
時には、誤解されたり、上手く理解を得られなかったり、やり方や生活を否定されることもあり、落ち込むこともありました。
また、相手の好意を受けることができず、申し訳ない気持ちになることもありました。

あるときは、「気を使うから誘いづらい」と言われこともありました。

 食物アレルギーは実際、気を使います。
だって命を守るためだから。
なので、ママやパパは日々頑張っています。

 症状にも個人差があり、それぞれに合ったやり方があります。
それが細かく、複雑な場合もあります。
それを同レベルで相手に求めたりすることは無いけれど、「気を使うから誘いづらい」なんて言われるとやはり心はザワつきます。
そんなこともあり、彼女は相手にアレルギーを伝える際は慎重になっていったそうです。

「この人には言っても大丈夫かな?」
「今は言わない方が良さそうだな」
「言っても空気壊さないかな」 
「明るく言ってみようかな…」

しかし、上手く伝えたと思っていてもなんだかモヤモヤ…
伝え方をいろいろ変えてみても、やっぱりモヤモヤ…

そんなモヤモヤな日が続いていたある日、こどもの遊ぶ姿を眺めながらふと思いました。

「この子は何も悪いことしていないのに 私はどうしてこんなに後ろめたくて、誰に罪悪感を抱いているんだろう…なんでこんなに周りに気を遣って過ごしているんだろう。」

 彼女は「相手軸」で考えてたからずっとモヤモヤしていたのです。
親の私が、気を遣って罪悪感を抱えて過ごしていたら、この子もいつか自分のアレルギーに罪悪感を抱えるようになってしまうかもしれない。誰も何も悪くないのに。
相手に気を使わせてしまって申し訳ない気持ちや、面倒をかけてしまうのではないかと、気にかける優しさは大切だけれど、人の感じ方・考え方まではコントロールできません。

 だから「相手軸」では考えない。
そして、10人のアレルギーっ子がいれば10通りのやり方があるということ。
それぞれに合ったやり方で少しずつ進んでいけばいいのだと。

 まだ「お母さん」になりたてだった彼女は、周りの声に振り回されてばかりでした。
食物アレルギーだと診断され、不安もいっぱいだったのです。
それでもこのモヤモヤ体験から「こども軸」で考え、この子の為に行動しよう、それはきっと良い方向に向かうと強く感じたそうです。
それからは、モヤモヤすることは減り、不安や迷いはあるけれどブレずに過ごしています。

大切なのは、こどもが安全で安心して、楽しい食生活を送ること、それが1番だと思うのです。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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