蜂に刺されたお子様のお話し

絶対に蜂に刺されないようにしてください

保育園の連絡帳でのお話です。

 保育園では、子どもたちの様子を観察しながら連絡帳のメッセージ部分を記入します。
5分くらいの間隔で呼吸や顔色を確認しながらの作業なので、慣れるまでは文章をまとめるのに苦戦します。
 ある日のこと、いつものように午睡中にメッセージ記入をしていた担任の先生。
鶏卵アレルギーのお子さんの連絡帳に目が留まりました。

 ——自宅の庭で蜂に刺されました。
今朝、腕に貼ってあった絆創膏の説明を、連絡帳にも記入してくれたようです。
 ——アナフィラキシーが心配なので、絶対に蜂に刺されないようにしてください。
子どもの目や口に入ってしまうかもしれないため殺虫剤は使えません。
一人だけ防護服を着て散歩に行くのも…。どうしたら良いでしょう?

 どうやら、お子さんに鶏卵アレルギーがあることで、他の子より体の弱いうちの子ではきっとアナフィラキシーが起こる!と不安になってしまったようです。
保護者の方には、蜂に限らず安全のため殺虫剤は使えないことと一緒に、鶏卵アレルギーと蜂に刺されたときのアナフィラキシーには関係がなく、自己判断で絶対アナフィラキシーが起こると決めることはできないので、どうしても気になるようなら、専門の病院・クリニックで相談してみるようにとお話ししました。
 その際に、食物アレルギーと蜂に刺されたときのどちらにもアナフィラキシーが起こる可能性があるのに、どうして蜂に刺されたときはいきなりアナフィラキシーになってしまうのかと質問を受けました。
次に刺されたら即アウトは怖いですものね…。

 食物アレルギーでアナフィラキシーを起こしてしまう場合、食べてしまったアレルゲンの量、状況はその人ごとに決まっています。
そのため、アナフィラキシーを起こしてしまう条件を避ける、アレルゲン除去の食事に変えれば防げます。
また、条件が決まっていることを利用して、経口負荷試験でアレルゲンを食べても大丈夫な量を調べて治療できます。
食物アレルギーは、上手に付き合えばアナフィラキシーを避けられるのです。
 蜂に刺された場合、蜂の毒のアレルギーを持っていると、うっかり2度目を経験しただけでアナフィラキシーを起こしてしまうことがあります。
たった2回で大惨事なので、食物アレルギーとは別のアレルギー反応のように見えますが、実は、大まかな仕組みとしてはどちらも同じです。

 食物アレルギーがアナフィラキシーを起こす条件を自分で避けられるのに対し、蜂に刺された時はいつ、どれぐらいの量かは人間にはどうしようもありません。
まったくの事故だから、特別なアナフィラキシーのように見えているだけなのです。
まさか、蜂さん毒控えめに刺してください~なんて通用しません。
蜂も人間も、毎日一生懸命に生きています。
アナフィラキシーではなくても刺されれば痛いので、お互い気持ち良く生きていけることを祈るばかりです。

認定食物アレルギー管理栄養士「根路銘寿々(ネロメスズ)」

老人ホーム、療養型病院、保育園などの施設に15年以上勤務した経験をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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