タンパク質が変性することで、アレルギー症状が出にくくなる(低アレルゲン化)食品と、そうではない食品があります。

タンパク質の形や性質が変わることを「タンパク質の変性」と言います。

熱に強いだけでなく、加熱によってアレルゲン性が増強する食品もあるのでいくつが紹介します。

 食物アレルギーを引き起こす物質アレルゲンが、タンパク質でできていることは、よく知られています。
加熱や強い酸、酵素などの影響で、タンパク質の形や性質が変わることを「タンパク質の変性」と言い、その性質を利用して、色々な加工食品が作られています。
チーズや湯葉(ゆば)、一番身近なところでいうと、ゆで卵がわかりやすいと思います。

 タンパク質が変性することで、アレルギー症状が出にくくなる(低アレルゲン化)食品と、そうではない食品があります。
さらに、熱に強いだけでなく、加熱によってアレルゲン性が増強する食品もあるのでいくつが紹介します。

【鶏卵】
卵だけでも主なタンパク質が4つほど含まれています。
その中の一つ、卵アレルギーではおなじみ(?)の「オボムコイド」は熱に強いため、加熱してもアレルゲン性は低下しにくいことがわかっています。
他に加熱によって、変性しやすいタンパク質も含まれていますが、耐性を獲得したかどうかの判断は「オボムコイド」の値を見ることが多いです。

【牛乳】
主なアレルゲンの「カゼイン」も熱に強いため、アレルゲン性は低下しにくいタンパク質です。
また、発酵でもアレルゲン性は低下しないので、カルシウムを補うためにチーズを代替食品として使用することはできません。

【りんご】
主要アレルゲンは、加熱に弱いため、生で食べた際は、口内の痒みを感じていても、よく加熱されたジャムや、お菓子を食べた時は症状が出ないということがあります。
加熱することで、アレルゲン性が低下したと考えられます。

【ピーナッツ】
熱に強いタンパク質(貯蔵蛋白質)が多く含まれているため、高温加熱処理をすることで、アレルゲン性が増強します。
茹でたものより、揚げたもの、そしてロースト(焙煎)されたものの順に強くなることがわかっています。
茹で、生などの表示がない場合、ローストされていることが多です。
また、ピーナッツは殻にもアレルゲンが含まれているので、粉末やからのカケラを吸い込んで症状が出るという事例もありました。

 必ずしも加熱すればアレルゲン性を低下させるとは言えませんが、果物や野菜類は、熱を加えることで、症状が出にくくなることがわかっています。
同じ食品でも、含まれているタンパク質の種類や、耐熱性の違いそして、調理方法によって
症状の有無もさまざまなので、「加熱すれば大丈夫」とひとまとめにして考えないことが大切です。
そして、食物アレルギーに限ったことではありませんが、心配や不安に感じたら早めにかかりつけ医や専門医に相談しましょう。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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