同じ魚卵で、いくらに対してアレルギー症状が見られる場合でも、他の魚卵(たらこ、ししゃも、とびこ)は食べられるという症例もあるので、一括りに除去するのではなく、それぞれ負荷試験で食べられる量を確認してから「必要最低限の除去」を行うようにしましょう。

いくらアレルギー

魚卵の中でもトップ!

 以前京都で懐石料理をいただいた時のことです。
予約の際に「何か食べられないものはございませんか?」と尋ねられました。
アレルギーではないものの、魚卵が苦手な家族がいるので、その旨を伝えると、「この料理にはいくらが使用されている」「一部にとびこを使用してる」など、お料理の詳細や調理法を説明してくれました。
そして一部内容を変更するという対応をしていただきました。
その時の聞き取りがとても丁寧で「さすが老舗だなぁ…」なんて感心していたのですが、観光地としても大人気な京都ということで、いろいろな国のお客さまが来店されるため、様々なアレルギーなどを想定されているようで、しっかりと徹底された素晴らしい対応でした。

【魚卵の中でもトップ!】
 日本における即時型アレルギーの原因食物、第6位は「魚卵」
日本は他国に比べて魚卵の消費量が多く、いくら、たらこ、とびこ、数の子など多くの魚卵を食べる機会があります。
2〜3歳の新規発症の原因食材では、第1位となっていて、その中のほとんどが「いくら」であることがわかっています。
いくらのたんぱく質は32.6/100g含まれていて、脂質も高いことから非常に栄養価の高い食物です。
しかし、アナフィラキシーショックを起こしやすい原因食物のため、幼児の早い時期にいくらを食べさせることに対して注意喚起されています。
また、いくらを食するのは日本やロシアなど一部の地域や国に限られているため、いくらアレルギーに関する研究報告は、日本以外では少ないというところが現状のようです。

【他の卵も除去が必要?】
 卵という文字がついているので、魚卵にアレルギーの症状が見られる場合、他の卵も除去が必要か気になる方もいるかもしれません。
例えば鶏卵は魚卵との交差反応はないため、一律に卵を除去する必要はありません。
同じ魚卵で、いくらに対してアレルギー症状が見られる場合でも、他の魚卵(たらこ、ししゃも、とびこ)は食べられるという症例もあるので、一括りに除去するのではなく、それぞれ負荷試験で食べられる量を確認してから「必要最低限の除去」を行うようにしましょう。

 【苦手だったはずなのに】
老舗料亭でいただいた懐石料理。
今まで食べたいくらの中でも飛び抜けて味がちがい、"いくらってこんなに美味しいんだと"感動しました。
魚卵が苦手と言ってた家族も、私のあまりの感激ぶりに、興味をそそられたようでいくらを試食すると…なんと、普通に食べることができていました。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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