今から10数年前、洗顔石鹸を使用して即時型の小麦アレルギーになったという出来事がありました。
洗顔石鹸を使って食物アレルギーになるなんて、ほとんどの人が予想もしていなかったことと思います。当時メディアでも大々的に取り上げられ大きな社会問題になっていたので、憶えている方も多いでしょう。

肌から吸収?

洗顔石鹸で食物アレルギーが発症した経緯

 今から10数年前、洗顔石鹸を使用して即時型の小麦アレルギーになったという出来事がありました。
洗顔石鹸を使って食物アレルギーになるなんて、ほとんどの人が予想もしていなかったことと思います。
当時メディアでも大々的に取り上げられ大きな社会問題になっていたので、憶えている方も多いでしょう。

 問題になった洗顔石鹸には、「加水分解コムギ」が使用されていましたが、加水分解コムギとは、使用感や保水性を高めるため使われる化粧品の成分で、小麦などのタンパク原料を酸やアルカリで分解して作られます。
その洗顔石鹸に限られたことではなく、多くの基礎化粧品やヘアケア用品には、加水分解された成分が含まれ販売されています。
濃度や製法、種類もそれぞれ違いがあるので一括りで加水分解物=「危険」ということではありませんが、現在、医薬部外品ではこの事例のような加水分解コムギは使用できなくなりました。
その洗顔石鹸では、湿疹、痒み、腫れなどの症状や、アナフィラキシー症状など同様のアレルギー症状を訴える人が、最終報告時には約2100例もありました。

 では、どうして洗顔石鹸で食物アレルギーが発症したのでしょうか。
洗顔石鹸に含まれていた加水分解コムギ(グルパール19s)が皮膚や粘膜がら吸収されて身体の中では、グルパール19sに対して特異IgE抗体が生産されます。
その特異IgE抗体が、小麦にも反応し、即時型の食物アレルギーが誘発されることになった
のではないかと考えられています。
食品以外のものが原因でしかも、皮膚からの感作で食物アレルギーになるという事例に
当時、次男が小麦アレルギーだったということもあり、とても驚いたのを憶えています。

 海外での報告にこんなものがありました。
ピーナッツオイルでマッサージを行うとピーナッツアレルギーが発症しやすい。
これは皮膚から、つまり経皮的にアレルゲンに感作されることがあるという報告で、皮膚バリアの機能低下が、食物アレルギーのリスク要因の一つと考えられています。
こうしたことから、小麦アレルギーの方は「加水分解コムギ」を使用した化粧品やヘアケア用品を使用することは控えた方が良いでしょう。

また、肌荒れや吹き出物など皮膚バリアが低下しているような状態の時は、皮膚や粘膜からアレルゲンに感作されるという可能性を考慮し、異変を感じたら使用を控えることが大切です。
誰にでも起こりうる食物アレルギー。
普段から自分の体調を把握し、異変に気づくことができるように過ごしていきたいものです。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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