【監修】
朴 善美 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部
管理栄養士

甲殻類、軟体類、貝類アレルギーの特徴

私たちの食卓には「えび・かに」などの甲殻類、「いか・たこ」などの軟体類、「あさり・しじみ・ホタテ」などの貝類など魚介類がよく登場します。今回は甲殻類、軟体類、貝類アレルギーについて解説します。
甲殻類アレルギーは、学童期や成人になってから新たに食物アレルギーを発症することが多く、鶏卵や牛乳などの乳幼児期に発症するアレルギーと異なり、耐性獲得(食べられるようになること)しにくいといわれています。

甲殻類や軟体類、貝類は魚介類としてひとくくりにされることがあります。確かに、えびアレルギーの人の約65%は、かにを食べてもアレルギー症状が誘発され、このような場合にはえびとかに両方の除去が必要です。一方、甲殻類と軟体類、甲殻類と貝類のアレルギーを合併している人は「えび」と「かに」ほど多くないため、甲殻類アレルギーだからと言って軟体類と貝類をまとめて除去する必要はありません。

甲殻類、軟体類、貝類アレルギーの完全除去の場合の「除去の範囲」

甲殻類、軟体類、貝類のアレルギー症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)は熱に強いため、加熱することでアレルギー症状が誘発されにくくなること(低アレルゲン化)はありません。原因食物の完全除去が指示された場合は、寿司や刺身などの生はもちろん、調理加熱したものと、以下のような加工食品の除去が必要となります。

〈甲殻類、軟体類、貝類が含まれている加工食品の例〉
・菓子類(煎餅、スナック菓子など)、ふりかけ
・缶詰や冷凍食品(シーフードミックス、エビフライ、天ぷら、ピラフ、たこ焼き、クリームコロッケ、シューマイなど)
・原因食物のエキス(出汁)が含まれている調味料や練り製品

ただし、しらすやちりめんじゃこに混入している小さなえびやかには微量で症状が出るような重症な人でなければ、食べられることが多いです。
食べられる範囲は人によって異なります。出汁、煮汁、お菓子などの加工食品であれば食べられることもあります。医師に相談して、必要に応じて食物経口負荷試験を受け、食べられる範囲を確認してもらいましょう。

アレルギー表示について

・甲殻類
えびとかには食品表示法により、容器包装されている加工食品に微量でも含まれている場合に表示が義務付けられている「特定原材料」として指定されています。加工食品の原材料欄にえび、かにの表記がない場合には食べることができます。「えび」と「かに」の表示には以下の代わりの表記が認められているので、確認しておくと安心です。

・軟体類、貝類
軟体類と貝類の中で、いかとあわびは「特定原材料に準ずるもの」として指定され、アレ
ルギー表示が推奨されています。しかし、表示義務対象ではないため、表示されていない
からといって「いか」や「あわび」が使用されていないとは限らないです。

レシピ

えびを使わないそっくりのレシピの紹介です。

まとめ

日本は1人1年当たりの食用魚介類消費量が世界トップレベルであり、魚介類が豊富な国です。甲殻類や軟体類、貝類は、私たちの食卓に欠かせない食材であり、甲殻類や軟体類、貝類をまとめてひとくくりに除去をすると食生活の質の低下につながります。
甲殻類アレルギーでも軟体類や貝類まで除去が必要な人は少なく、食べられる範囲には個人差があることを理解し、食べられる範囲までは食事に積極的に取り入れることで、食生活の質を上げることができます。