【監修】
渡邉 八寿子 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部
管理栄養士、調理師

小麦アレルギーの特徴

小麦のアレルゲンは、加熱や調理方法によるアレルゲン性(アレルギーを起こす力)の変化は起こりません。例えば、小麦を使った料理で、煮たり、揚げたり、クッキーやパンのようにオーブンで高温調理しても、アレルギーを起こす力は変わらないということです。

小麦アレルギーの場合、主に「主食」であるパンや麵類などを除去しなければならず、栄養面の不足を心配されるかと思います。しかし、小麦を除去していても米や雑穀類(ひえ、あわ、きびなど)は食べられるので、主食(炭水化物)は米を中心に、芋類やトウモロコシ粉、米粉を使った米粉パン・米麺などで代用し、食事のバランスが崩れないように注意すれば、栄養面が不足することはありません。

※詳しくは「【管理栄養士監修】小麦アレルギーでの栄養素の補い方と食品表示の見方について説明します。小麦を除去した料理工夫やレシピを紹介します」で解説します。

小麦を完全除去する場合の「除去の範囲」

小麦アレルギーの完全除去の「除去範囲」については、基本的には以下のように考えます。ただし、食べられる範囲には個人差があるため、必ず主治医に相談しながら食べるようにしましょう。

画像: 出典:厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」,p21-22を参考に作成

出典:厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」,p21-22を参考に作成

ゆで汁や揚げ油について

小麦のアレルゲンは、小麦製品を調理したゆで汁や揚げ油に残っている可能性があるため、同じゆで汁で米粉麵を茹でたり、揚げ油を共有することは避けましょう。重症な方はゆで汁や揚げ油の共有で症状が出る場合もあるため、共有できるかは主治医に相談してください。

醤油

醤油の原料には小麦が使われているため、アレルギー表示では「小麦」の表示がされます。しかし、醸造過程で小麦のアレルゲン性(アレルギーを起こす力)は消失しており、小麦アレルギーでも基本的に除去の必要はありません。

麦茶

大麦が原材料であるため、小麦アレルギーの方でも、大麦アレルギーでなければ除去する必要はありません。大麦アレルギーと診断された場合でも、麦茶はタンパク質含有量がごく微量なので飲める方も多いですが、一部の重症な方では症状が出ることもあります。

大麦やライ麦・その他の麦類

すべての麦類に除去が必要なわけではないですが、重症な小麦アレルギーの方で一部、大麦やライ麦などで症状が出る場合があります。摂取できるかは主治医の指示に従いましょう。

小麦を使わずに食事を作る場合の注意点やレシピ

まとめ

小麦アレルギーで完全除去が必要な場合でも、主食は米を中心にし、バランスよく食べていれば栄養が不足する心配はありません。小麦を含まない米粉や、雑穀類のパンや麺、お菓子などの加工食品で代用すると、献立のバリエーションが広がります。
小麦は幅広い加工食品に使用されているため、除去すべき食品と、摂取可能な食品を知り(例えば、醤油や酢が使えるかなど)、必要最小限の除去に留めることで食生活の質は大きく変化し、調理負担の軽減にも役立ちます。

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