お互いの認識のズレ、どう埋める?
伝えていたはずなのに、きちんと伝わっていなかったそんなお話です。
家族や親戚が集まる食事の場で、困った経験があるというかた、いらっしゃると思います。
事前に「食物アレルギー」を伝えていたはずなのに、きちんと伝わっていなかった。
また、独自の解釈で行動されて、ヒヤリとしたことがある…など。
このような誤解やミスは、お互いの認識のズレが関係していることが多いです。
どうして認識のズレが生まれてしまうのか。
理由のひとつに、『常識』の差があります。
アレルギーっ子の親御さん達は、一生懸命な方が多いです。
食物アレルギーと診断されてからたくさんの情報を集め、なかにはプロ並みに知識をもっている方もいます。
また、「何十冊も本を読みこみました」というママさんもいました。
多くの知識と経験があるが故に、周りと比べて『常識』の基準が自然と高くなります。
一方、普段食物アレルギーと縁のない方は、それほど深い知識を必要としていないので、その違いが差となって現れます。
ちなみに、家族内でも誰か1人にまかせっきりにしている、という場合にも差が生まれてしまいます。
ふたつめに、『コミュニケーション不足』があげられます。
先ほどの常識の違いとも関係してくるのですが、例えば「食べてはいけない」という言葉ひとつとっても、単に取り除けばよいのか、接触することもダメなのかなど、経験やニュアンスの違いで相手の受け取り方は様々です。
お仕事でもいえることですが、「伝わっているだろう」と過信せずに、お互い認識をすり合わせ、確認することが大切です。
認識のズレを完全になくすことはできませんが、減らすために心がけることとして、私は次のような方法をやっていました。
【より具体的に伝える】
自分の常識は相手にとって常識ではないかもしれない、という気持ちをもって「お皿だけじゃなく、カトラリーも完全に分けないといけない」や「目に見えてついていなくても、接触した食器類は使えない」のように具体的に伝えること。
近しい人ほど「皆まで言わずともわかるよね」という気持ちになってしまいがちなので、少々面倒でも、より具体的に伝えることをおすすめします。
【視覚にうったえる】
食器類や調理器具を同じシリーズやカラーでそろえて、“アレルギー用専用セット”をつくると、違いに気づいてもらいやすくなります。
100円ショップや雑貨屋など、品ぞろえも豊富で比較的手にしやすくなっているので、好みのもで統一してみたり、お子さんと一緒に選んだり楽しみながら揃えることもできます。
同様に、”アレルギーバッチ“も視覚にうったえる方法として効果的です。
最近ではとても分かりやすく、かわいらしい絵柄のものが販売されているので、お気に入りを見つけるのも良いかもしれません。
大勢での食事の場は、雰囲気や非日常感がとても新鮮で、子供の頃はワクワクしたものです。
昨年から大人数で食事をする機会は減ってしまいましたが、また日常の生活に戻るときまで、“あんなこと書いてあったな“と頭の片隅にでもとどめておいてもらえたら、嬉しいです。
管理栄養士「渡邊こずえ」
食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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