家族歴だけでは「断定」はできないというのが現状のようです。
家族歴と遺伝的素因
食物アレルギーは誰のせいでもありません
海外のドラマや映画を観ていたら、ちょくちょく食物アレルギーの描写が出てきます。
相手の食物アレルギーを利用して貶めたり(怖かったです)、生き別れの兄弟が再会するきっかけになったり。
つい先日観たものも、親子再会のてがかりに食物アレルギーが役に立ったというものでした。
ドラマでは、親子で同じ「珍しいアレルギー」という設定でしたが、実際、食物アレルギーは遺伝するのでしょうか?
「食物アレルギーの発症」に関しては、家族の食物アレルギー歴に関係しているという報告もあれば、関連性は無いという報告もあるため、リスクを知るための参考にはできても家族歴だけでは「断定」はできないというのが現状のようです。
遺伝に関しては、小児期に発症する食物アレルギーそのものが遺伝することはないようですが、遺伝と食物アレルギーに関する研究は、それほど行われていないため、まだまだわからないことが多いのです。
「遺伝子」でいうと「フィラグリン遺伝子」というものがあります。
これは、皮膚のバリア機能を担うもので、天然の保湿に関わる遺伝子です。
表皮の細胞をギュッと集め固めて、丈夫で保湿力のある角質層を作るための中心的存在ですが、この「フィラグリン遺伝子」に変異があると、肌のバリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎を原因として食物アレルギーになりやすくなるのではないか、ということがわかっています。
それなら、遺伝子検査で食物アレルギーの発症は予防をすることはできるのか、に関しては現実的ではないようです。
家族に食物アレルギーやそのほかのアレルギーがあったからといって必ずしも子どももアレルギーを発症する、とは言えませんが、食物アレルギーのリスクが高くなる可能性があるという事は言えます。
だからと言って、お子さんの食物アレルギーがパパやママのせいであるということは絶対にありません。食物アレルギーは誰のせいでもありません。
「母親からの遺伝じゃない?」
「似ないで良いところが似ちゃったね笑」
「アレルギーとか子どもがかわいそう」
などと、心無いことを言う人がときどきいます。
本人は冗談のつもりだったり、特に何も考えていなかったりするのですが、言われた方は傷ついたり、自分の責任ではないかと自身を責めてしまうこともあるでしょう。
「食物アレルギーは誰のせいでもありません」
心無い一言は、右から左へ華麗に受け流しましょう。
ドラマのように都合よくとはいきませんが、食物アレルギーが今後、何かの役に立つ時があるかもしれませんよ。
管理栄養士「渡邊こずえ」
食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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