【監修】
佐藤 さくら 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
病態総合研究部
小児科医、アレルギー専門医

原因食物の除去について

食物アレルギーの治療の基本は、正しい診断に基づいた「必要最小限の原因食物の除去」です。食物経口負荷試験の結果などにより、医師から指示された原因食物だけを、普段の食事から除去します。一方で原因食物でも、症状の出ない「食べられる範囲」までは、食べることができます。

留意点について

原因食物の除去が食物アレルギーの治療の基本ですが、除去の程度は、個人によって異なります。乳幼児の食物アレルギーは成長とともに食べられるようになることが期待できるため、定期的に食物経口負荷試験を受けて、その時点での「食べられる範囲」を正確に把握することが大切です。
「食べられる範囲」までは積極的に食べることが、栄養不良を防ぎ、本人と家族の生活の質を向上させることにつながります。

栄養について

食物アレルギーを発症しやすい乳幼児期は、成長期でもあるため、栄養面の配慮は特に欠かせません。除去する食物の種類と「食べられる範囲」に応じてメニューを考え、不足分は代替食品で補うようにしましょう。

アレルギー表示について

加工食品を購入する際は、原因となっている食物が含まれていないか確認します。日本では容器包装された加工食品は下記のルールでアレルギー表示が行われています。必要のない除去や原因食物の誤食を防ぐため、アレルギー表示のルールを理解しておきましょう。

画像: 出典:消費者庁「食品表示法等 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」p1を参考に作成

出典:消費者庁「食品表示法等 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」p1を参考に作成

特に気をつけたいのは、原因食物として表示する義務があるのは「特定原材料」の7品目のみということです。患者数が多い食品(卵、乳、小麦、えび、かに)、アレルギー症状が重篤な食品(そば、落花生(ピーナッツ))が、特定原材料に指定されています。これら7品目は、容器包装された加工食品に入っている場合は、少量でも必ず記載されることになっています。
特定原材料に準ずるものとして、表示が推奨されているものは、21品目あります。しかし、これらに表示義務はなく、原材料欄から省略されている可能性があるため、注意しましょう。

まとめ

食物アレルギーの治療の基本は、正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去です。除去を最小限にすることは、栄養不良を防ぐことはもちろん、食事を準備する家族の負担軽減にもつながります。また、加工食品を適切に選ぶために、アレルギー表示のルールを理解しておくことも大切です。

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