まだ食べたことのないものも含め、複数の食品で血液検査が陽性のため、除去を続けていたが不安になり専門機関で 食物負荷試験を受けたら症状が出るものが一つもなかったという事例もあります。
不必要な除去してませんか
「尿1滴、自宅で行うがん検査」
広告を始めて見た時、自宅でがん検査が行える時代になったんだと、とても驚きました。
少し興味があったので、早速調べてみると「1次スクリーニング検査」つまり、がん検診の入口としての検査とのことです。
忙しい人や少し勇気が出ない人にとっては、がん検診を受けるきっかけにできるのでとても良いのでは…と感じました。
【スクリーニング検査 】
おおむね対象を選別する、という意味合いで使われています。
医学の分野でいうと、特定の病気にかかっている疑いのあるものを抜き出すことで、簡易的な検査を指します。
食物アレルギーの血液検査(IgE抗体)もスクリーニング検査にあたります。
アレルゲンに対して抗体があるかどうかを見る検査で、食物アレルギーに対しては、決定できるものではない 「補助的診断」になります。
なぜなら、数値(抗体の値)の高さと症状の強さは必ずしも一致しないためです。
実際、血液検査で抗体の値が高くても、食べて症状が出ない人や、その逆の人もいるのです。
そのため、食物アレルギーに関しては、血液検査だけでは診断を確定できません。
食物アレルギーであると診断を確定するにはこのような検査があります。
・問診
・血液検査(IgE抗体)
(ヒスタミン遊離試験)
・皮膚プリックテスト
アレルゲンを少量皮膚に入れ、15分後に出現した皮膚症状を測定
・食物除去試験
食物アレルギーの原因と思われる食品を除去して、症状が改善されるかをみる
・食物負荷試験
食物アレルギーが疑われる、または確定している食品を 複数回に分けて摂取し、症状の有無を確認する
これらいくつかの検査を経て「食物アレルギー」と断定されます。
【不必要な除去してませんか】
血液検査の診断だけで、独自に除去をしてしまっている人いませんか。
まだ食べたことのないものも含め、複数の食品で血液検査が陽性のため、除去を続けていたが不安になり専門機関で 食物負荷試験を受けたら症状が出るものが一つもなかったという事例もあります。
数値にとらわれずに 除去が必要かどうかは食物負荷試験が必要になります。
特に、乳児は発症予防の観点から、不必要な除去は進められない可能性が指摘されています。
食べても症状が誘発されない「食べられる範囲」を知ることで、食生活の質を向上し、調理の負担も減らすことができます。
血液検査は、食物アレルギーを見つけるスクリーニング検査だということを念頭に置いて行動しましょう。
管理栄養士「渡邊こずえ」
食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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