「少しずつ食べさせる」も根性論のような「慣れ」とは全く違うものなので、情報を発信する側もなるべく誤解や間違った解釈をされないように、言葉を選びながら慎重に行わなければならないのだと痛感しました。
また、周りの理解や協力を得られるような環境にしていくため、もっと何かできることがあるのでは?と考えさせられる出来事でした。

「少しずつ食べさせる」とは

画像: 「少しずつ食べさせる」とは

【慣れさせるために食べさせる】

 食物アレルギーには個人差があり、血液検査の値(数値)が高くても、何も問題なく摂取できる人や、値(数値)はそれほど高くないにもかかわらず、微量でも摂取してしまうと症状を誘発してしまう人など個人差が大きくさまざまです。

 昔に比べると食物アレルギーに対して認知されてきたんだな、と感じることが増えてきましたが「独自の持論を押し付ける」「何度言っても理解してもらえない」「歩み寄ってさえくれない」など、周りの対応に頭を悩ませている人が多いのも事実です。

【慣れさせるために食べさせる】
 とあるアレルギーっ子の帰省先でのお話です。
食物アレルギーと診断、少量でも症状が誘発されてしまうため、自宅負荷もまだおこなっておらず除去をしている状況でした。
そんなか「少しずつ食べさせて慣れさせた方がいい」と、帰省先の家族が食べさせようとした危険なトラブルが起きてしまいます。
「少しずつ食べさせて慣れさせる」とは、おそらく自宅負荷の事を言いたかったのだと思います。
通常は、医師の診断のもと食べられる量を負荷試験で明確にしてから行うものです。
それを独自の解釈で、自宅負荷を自己流で行おうとしていたのです。
食べさせる前に止めることができ、幸い何事もなかったのですが、その後も何度説明しても神経質だと思われ、なかなか理解してもらえなかったそうです。

【負荷試験の量って?】
 一般的な負荷試験での目安量は次のようになります。
牛乳を例にみてみると、少量(3ml)、中等量(15〜50ml)、日常摂取量(200ml、離乳完了期は100ml)となっていてリスクの高い人の場合3mlと、ごくわずかな量から始めます。
「少しずつ」といってもml単位で全然違ってくるので、独自の判断で行うことはとても危険なのです。

【早い時期からあげた方がいい】
 最近では、乳児期の早い時期から少しずつ食べることによって、食物アレルギーが起きにくくなると言われていますが、
それは、あくまで食物アレルギーを発症していない場合であり、すでにアレルギー症状が出ている乳児に対しては当てはまりません。
症状が出ている乳児に対しては、必ず負荷試験で「食べられる量」を確認してから行わなければなりません。
「少しずつ食べさせる」も根性論のような「慣れ」とは全く違うものなので、情報を発信する側もなるべく誤解や間違った解釈をされないように、言葉を選びながら慎重に行わなければならないのだと痛感しました。
また、周りの理解や協力を得られるような環境にしていくため、もっと何かできることがあるのでは?と考えさせられる出来事でした。

管理栄養士「渡邊こずえ」

食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
質問などありましたら「お問い合せ」にお気軽にメールをお願いいたします。

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