血清アルブミンは、熱によって変性しやすく、加熱料理によってアレルゲン性が低下するためしっかりと加熱した肉でアレルギー症状が起きることは少ないのです。
肉類のアレルギーが少ない理由
日本の即時型アレルギー全体の割合の中で、肉アレルギーは1.8%
知り合いのお肉屋さんから「希少部位」ということでお肉を譲ってもらった事があります。
名前が思い出せなかったので、記憶を頼りに調べてみるとおそらく横隔膜の部分のようでした。
「サガリ」というらしいのですが、「肉」ではなく「ホルモン」として位置づけられているそうです。
同じ横隔膜の部位であるハラミに比べて、脂っぽくなくとても食べやすいお肉でした。
子供の頃は、お肉の脂身大好き!だったのですが、年齢を重ねるにつれだいぶ胃に負担がかかるようになって来ました。
脂身はちょっと…という方にもおすすめな「サガリ」希少部位ですが、もしお店で見つけたら試してみてください。
さて、今回はそんな「肉アレルギー」のお話です。
食物アレルギーがタンパク質と深い関係だということは、多くの人が知っていると思います。
そして、タンパク質といえば肉類を思い浮かべる人も多いでしょう。
肉類はタンパク質含有量が約20%で高タンパクな食物です。
けれど、食物アレルギーの原因食物の内訳で一番多いのが、鶏卵、続いて牛乳、小麦となっています。
厚生労働科学研究報告書によると、日本の即時型アレルギー全体の割合の中で、肉アレルギーは1.8%の割合となっています。
なぜ、高タンパクな食物なのに、肉アレルギーの割合が少ないのでしょうか。
理由はタンパク質の(主要アレルゲン)の性質によるものです。
肉の主要アレルゲンは「血清アルブミン」といいます。
血清アルブミンは、熱によって変性しやすく、加熱料理によってアレルゲン性が低下するためしっかりと加熱した肉でアレルギー症状が起きることは少ないのです。
また、牛肉と牛乳、鶏肉は鶏卵と、それぞれ交差抗原性はないため、牛肉アレルギーだからといって牛乳も除去、鶏卵アレルギーだから鶏肉も除去という考えではなく、それぞれ別の原因食材だとして考えましょう。
食物アレルギーで必要最低限の除去を行うには、負荷試験を行なって確かめます。
それぞれの主要アレルゲンの性質によって、加熱後摂取できるものや、アレルゲン性を低下させる事ができるものなどさまざまです。
中にはピーナッツのように加熱することで、アレルゲン性が高まるものもあります。
他にも、交差抗原性と言って原因食物とタンパク質の構造が似ているため、アレルギー症状を引き起こすものがあったり、「タンパク質」と一言で言っても、食物によって違いはさまざまです。
くれぐれも独自の判断で摂取したり、除去したりすることのないように、専門医に相談して行いましょう。
管理栄養士「渡邊こずえ」
食物アレルギーっ子ママで、管理栄養士。
管理栄養士の免許取得後、食品会社・病院・エステティシャンや飲食店など様々な仕事を経験。
現在は、3人の子育てをしながら自身の体験や失敗をもとにイラストやコラムを書いていただいています。
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