【監修】
渡邉 八寿子 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部
管理栄養士、調理師

小麦の主な栄養素と代替食品について

小麦の主な栄養素は炭水化物です。小麦を完全除去する場合、主食は、米を中心に雑穀や米粉製品・いも類などを代用すれば、栄養素が不足するリスクはほとんどありません。
小麦が主原料のパンや麵類は、ご飯と同様に代表的な主食ですので、除去する場合は下記の代替となる食品を参考にして食べるようにしてください。

小麦の代替となる食品

画像1: 日本食品標準成分表 2015年版(七訂)「同 追補2018年」より算出

日本食品標準成分表 2015年版(七訂)「同 追補2018年」より算出

画像2: 日本食品標準成分表 2015年版(七訂)「同 追補2018年」より算出

日本食品標準成分表 2015年版(七訂)「同 追補2018年」より算出

アレルギー表示の見方

容器包装された加工食品

小麦は、容器包装した加工食品に微量でも含まれていれば、表示義務のある食品(特定原材料)です。 加工食品の原材料欄を確認すれば、小麦を使用しているかの判断ができます。ただし、「小麦」以外に別の表記や紛らわしい表記もあるため、表示のルールを確認しておきましょう。

〈代わりの表記〉

・代替表記:こむぎ、コムギ
・拡大表記(表記例):小麦粉・こむぎ胚芽

〈紛らわしい表記〉

・麦芽
大麦を発芽させたもの。小麦アレルギーの場合、大麦にアレルギーが無ければ摂取できます。

・グルテン
小麦タンパクのことで、除去が必要です。米粉や米粉パンに添加される場合があります。米粉製品に「グルテン(小麦由来)」などと表示されている場合は除去が必要です。

・麦芽糖(一部除く)
麦芽糖は主に、とうもろこしが原料で、一部米・いも・大麦などから作られます。そのため、基本的に小麦アレルギーでも食べられますが、「麦芽糖(小麦を含む)」などと表示がされ、「小麦由来」の場合は除去が必要です。

小麦を除去した場合の調理工夫

小麦を使った加工食品の代替として、米や雑穀、とうもろこし粉を使ったパン・麺類などが市販されています。また、下記の内容を参考に、料理のレパートリーを広げることができます。

カレー、シチューなどのルウ

米粉や片栗粉などのでんぷん、すりおろした芋などで代用できます。

揚げものの衣

コーンフレーク、米粉パンのパン粉や砕いた春雨、米粉の天ぷら粉で代用できます。

パンやケーキの生地

米粉や雑穀粉、大豆粉、芋、おからなどを生地として代用できます。市販の米パンを利用することも可能です。グルテンフリーのものを選びましょう。

麺類

市販の米麺や雑穀麺を利用しましょう。

引用:食物アレルギーの栄養指導の手引き2017

まとめ

小麦が全く使用できない場合でも、代替となる米、雑穀、米粉製品などを食事に取り入れることで、栄養は補うことができます。小麦の除去によって食事のバランスが崩れないように、主食(ごはん、米麺、米パンなど)、主菜(肉、魚、大豆製品など)、副菜(野菜、芋類、果物など)がそろうよう意識し、バランスが整うように配慮しましょう。

また、小麦の使用範囲は多岐にわたるため、除去による食生活への影響も大きいかと思います。市販の米粉パンや米麵、アレルギー対応食品などを活用し、小麦を除去した調理工夫を知ることで、家庭での調理負担を軽減できます。また、そうすることで献立の幅を広げ、食生活が豊かになることにもつながります。

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