【監修】
渡邉 八寿子 先生
国立病院機構 相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部
管理栄養士、調理師
牛乳アレルギーで不足しがちなカルシウムについて
牛乳は、タンパク質の供給源であると同時に、日本人に不足しがちなカルシウムの供給源でもあります。牛乳は他の食材に比べるとカルシウムの吸収率が高いため、効率のよいカルシウム供給源になります。牛乳・乳製品の完全除去が指示された場合、タンパク質は肉・魚、大豆製品などで補うことができますが、カルシウムは推奨されている必要量を満たすのが難しくなります。
魚や大豆製品、青菜、海藻などカルシウムを多く含む食材を食事に積極的に取り入れて、カルシウムを補っていきましょう(表参照)。大豆製品、青菜、海藻などに含まれているカルシウムは牛乳や魚と比べると吸収率が低いため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富な鮭、しらす干し、卵黄、きのこ類と組み合わせて食べることをおすすめします。
牛乳のアレルギー表示
牛乳は、容器包装された加工食品に微量でも含まれている場合、表示義務のある食品(特定原材料)です。 そのため、原材料欄を確認すれば、牛乳を使用しているかの判断ができます。しかし、「乳」以外に別の表記(バター・チーズ・アイスなど)もあるので、表示のルールをしっかり理解し、間違って食べてしまわないように注意しましょう。
<代わりの表記>
代替表記:ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム
拡大表記(表記例):アイスミルク、生乳、ガーリックバター、牛乳、プロセスチーズ、濃縮乳・乳糖*、加糖れん乳、乳たんぱく、調整粉乳
*乳糖:牛乳に含まれる糖質のことで、精製される過程でごく微量の乳タンパク質が残存している可能性があります。よって、乳の代わりの表記として認められていますが、残存する乳タンパク量はごく微量なため、摂取できる場合が多いです。摂取の可否は主治医と相談が必要となります。
<紛らわしい表記>
「乳化剤(一部は除く)」「乳酸カルシウム」「カカオバター」「乳酸菌」「豆乳」は乳成分を含まないので、牛乳アレルギーでも摂取できます。
乳化剤は卵黄、大豆、牛脂などから作られているため、乳由来の乳化剤でなければ除去の必要はありません。
牛乳を除去した調理の工夫
シチューやグラタンなどクリーム系の料理の場合
・じゃがいもやかぼちゃをポタージュ状にしたり、コーンクリーム缶でとろみをつける
・乳成分不使用のマーガリンと小麦粉(小麦アレルギーの場合は米粉)を混ぜ、豆乳で伸ばしルウを作る
・市販のアレルギー用ルウの活用
洋菓子を作る場合
・豆乳や豆乳ホイップ、ココナッツミルク、アレルギー用ミルクを代用する
牛乳除去のレシピ
こんなにある! 乳不使用で作れる晩ご飯レシピ
牛乳除去のケーキレシピ
ガトーショコラ、タルトなどなど‼ 牛乳不使用でもここまでできる
牛乳除去のパンレシピ
パンもこんなに簡単に‼
牛乳除去のお菓子レシピ
プリンや、ドーナツ、クッキーなどスイーツがたくさん!
まとめ
牛乳を除去しているとカルシウムが不足しやすいので、魚や大豆製品、青菜、海藻などカルシウムが豊富な食材を積極的に取り入れ、日々の食事でカルシウムを補うことが大切です。
牛乳・乳製品は加工品に幅広く使用されており、牛乳のアレルギー表示は紛らわしい表示もあるため、誤食しやすい食品です。表示のルールをしっかり理解し、誤食を防ぎましょう。
シチューやお菓子など一般的に乳製品を使用することが多い料理でも、豆乳やココナッツミルク、アレルギー用の市販品などで代用することで、料理のバリエーションが広がり、食生活が豊かになります。